西山緋音《にしやまあかね》

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唯香と別れて、自転車をこいでいた。はしゃぎ過ぎた。 もう少し早くでればよかった。六時でも、もうかなり暗くて、家までまっすぐ伸びている農道が、いつもより不気味で、長く感じた。 力いっぱいこいで、フルスピードだった自転車が、何かに躓いた。 「あ!」 と思った瞬間に、私の身体は自転車ごと、農道を外れて、この時期は寒々としている、たんぼに落ちた。 「痛い……」 そう思う暇もなく、何かが私の上にのしかかってきた。思わず、その「何か」を引っ掻いたら、殴られた。たんぼに落ちたよりももっと痛くて、のたうちまわってのに、お構いなしに、それはのしかかってきた。 .
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