西山緋音《にしやまあかね》

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◇◇◇ 入学式で、壇上に立つ唯香は綺麗で、かっこよかった。合格発表の日から、高熱を出して、中学の卒業式にもでられなかったのに、入学式にはどうしても出たくて、どうにか来れた。 椿ヶ丘の校門の両脇に咲く桜の花びらは、新入生を祝うかのように、優しく散っていった。 唯香とクラスが離れたのは残念だったけど、メールで呼び出すと、唯香はすぐに来てくれた。 「今日、お父さんに会いに行こうと思うんだ」 「そう」 「それとね。私、もっとお金欲しい」 「緋音、それって……」 「うん。私もやる」 「……。わかった。緋音だったら、沢山稼げると思うよ」 .
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