西山緋音《にしやまあかね》

40/57

731人が本棚に入れています
本棚に追加
/356ページ
最初に客をとった日は、後で泣いたけど、数をこなしていくうちに、男が¥マークに見えるようになってきて、それからはかなり楽にはなった。 セックスなんて、痛いだけだと唯香に言ったら、麻酔クリームをくれて、それからもっと楽になった。 放課後と、週末の全部を使って稼ぐだけ稼ごうとしている時だった。唯香が「郷土資料研究会」なんて言い始めたのは。 「私、部活してる時間ももったいないんだけど」 「緋音は、在籍してくれるだけでいいの。同好会をするのに人数が足りないから、お願い」 「まあ、普通の高校生っぽくていいかも」 「でしょ? 青春って感じ? それに、緋音の婿養子候補も何人か入れる」 「何それ。やめてよ」 「本家の三男は嫌なんでしょ? だったら、ここで探すのもいんじゃない」 「唯香、あのね……」 私は唯香に、あの日起きたことを話した。そして、婿養子なんて貰う気がない事も、卒業したら、あの家からも、この町からも離れることを。 .
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

731人が本棚に入れています
本棚に追加