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最初に客をとった日は、後で泣いたけど、数をこなしていくうちに、男が¥マークに見えるようになってきて、それからはかなり楽にはなった。
セックスなんて、痛いだけだと唯香に言ったら、麻酔クリームをくれて、それからもっと楽になった。
放課後と、週末の全部を使って稼ぐだけ稼ごうとしている時だった。唯香が「郷土資料研究会」なんて言い始めたのは。
「私、部活してる時間ももったいないんだけど」
「緋音は、在籍してくれるだけでいいの。同好会をするのに人数が足りないから、お願い」
「まあ、普通の高校生っぽくていいかも」
「でしょ? 青春って感じ? それに、緋音の婿養子候補も何人か入れる」
「何それ。やめてよ」
「本家の三男は嫌なんでしょ? だったら、ここで探すのもいんじゃない」
「唯香、あのね……」
私は唯香に、あの日起きたことを話した。そして、婿養子なんて貰う気がない事も、卒業したら、あの家からも、この町からも離れることを。
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