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「緋音は気づいてないかもしれないけど、あの部屋、防犯カメラちゃんとついてるんだよ? ねえ。嘘つかないで」
「……。お金。しいちゃんに返すから。お願い。どこに隠したの?」
中身がくりぬいてある英和辞典。あれが私の携帯貯金箱だった。
財布には入りきらない、銀行に預けられないお金を貯めこむのに選んだのが、あれだった。
「私が持ってる。しいちゃんにお金を返すなら、返してあげる」
唯香はそう言って、あの殺人現場に私を呼び出した。
東くんがいなければ、英和辞典を取り戻せたかもしれないのに、一足遅かった。
でも唯香の死体の近くにそれらしいものはなかった。
最初はあの場にいた誰かが持ち去った事を疑っていたけど、英和辞典はとんでもない場所から見つかった。
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