北山耕平《きたやまこうへい》

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僕の場合は、皆さんにも予想がついているはずです。 あの胎児は本当は嬰児なのではないのか? そして、胎児だろうが、嬰児だろうが、育んだ筈の母体は、母親はその後生きていただろうか? あのヴンダーカンマーの近くを通る度、僕はそんな事を考えてしまいます。 僕の生い立ちを思えば、皆さんも納得ですよね? 僕が16年前の、殺人事件の被害者家族だと言うことは、この町の住人なら誰でも知っている事です。 小さな田舎町で起きた凄惨な事件は「僕」の周りでは風化する事がない。 犯人が未だに捕まらず、手がかりさえないので、風化しない方がいいはずだ。と言う人がでてきそうですが、 僕は産まれてからと言うもの、他人の目に晒されている気分をずっと味わい続けているわけだから、いっそ、風化して欲しいとさえ、思うことがあります。 .
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