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この町のどこにいても、小高い場所に行けば、四方八方、稜線が望める。
子どもの頃、どこに行ってもその稜線を眺めた。
稜線が俺を、東の家を守っていると言ったのは、ばあちゃんだ。
何にも分からず、覚えるつもりも全くないのに、ばあちゃんに山の名前を聞いた。
ばあちゃんは、小さかった俺と姉ちゃんにどこからどこまでが、東の家の敷地かを、いつも得意げに言っていた。
この町のどこが、一番地価が高いか。とか、どの商売を東の誰が始めたかとか、姉ちゃんと俺は何をするだろうとかしないだろうとか。
物心つくころには、跡継ぎだってことは染み付いていたから、ばあちゃんの刷り込みは大したもんだと思う。
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