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ねーちゃんは、両親から度々勧められたけど、大学には進学しなかった。
高校も、家から近い商業高校だった。
「私、この町が好きだもの。短大でも2年、大学だと4年もこの町を離れるのは嫌。旅行でどこかに行くのとかで十分だから」
「ねーちゃんこそ、青春を謳歌しようって言う気概がないじゃないか」
「これが、私にとっては青春を謳歌する事になるの! 私の友だちもほとんど地元に残るしね」
「彼氏作って、遊んだりしても、この町じゃ父さんと母さんにすぐバレそうじゃね?」
「私、男の子って、ちょっとよく分からないし、ちょっと怖いかも。近づきたくないから」
ねーちゃんは、弟の欲目を抜いても可愛い。
『東さんちのお嬢さん』と言うかんじ、おっとりとして優しい癒し系。虫がブンブン寄ってきてもおかしくないのに、そういう話をねーちゃんから聞くことはなかった。
「俺も男なんですけど」
「りーちゃんは特別!」
そう言ってねーちゃんが俺の頭をくしゃくしゃにするのが、その時の俺はすごく嬉しかった。
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