東陸一《あずまりいち》

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ねーちゃんが実家から出ない理由には、俺の存在も少しはあると思った。 いつまでたっても、ねーちゃんにとっては俺は小さい弟で、その扱いの居心地のよさ半分、カッコ悪さ半分、に俺は満足していた。 それなのにいつからだろう? 兆候が出はじめたのは。 たぶん、俺が中3になった春、ねーちゃんは商業高校を卒業して、東の会社の一つ、ジュエリーアズマに就職した頃からなんだ。 .
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