東陸一《あずまりいち》

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父さんがねーちゃんの希望を聞いて、町に二つしかない大型商業施設の一つにある、ジュエリーアズマの売り子から、ねーちゃんは始める事になった。 「特別な買い物が多い場面に、立ち会えるのは素敵だと思わない? りーちゃん?」 ねーちゃんらしい、ふわふわした発言だった。特別な買い物なんてそんなにあるとも思えなかったけど、ねーちゃんはキラキラしていた。 「俺、男だからよく分かんないけど、ねーちゃんには合ってるんじゃない? ジュエリーアズマなら、客が分刻みでくる感じじゃないし、あそこの店長は女だし」 「そう!? そうよね」 ねーちゃんに、甘えてるくせに、ねーちゃんのこういう、どこだか頼りない所は、俺に心地のいいプレッシャーを与えていた。 将来ねーちゃんが、頼れるような男になろうって本気で思っていた。 .
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