東陸一《あずまりいち》

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ねーちゃんが客を送ってから帰って来た時、俺は聞いた。 「ねーちゃん、さっき来てたの、誰? お花かなんかの教室同じコ?」 「違うの。お店のお客様。あれ? りーちゃん、あの時帰ってたの?」 俺は俺の帰宅にねーちゃんが気付いていなかった事に軽くムッとした。 「お客様? 中学生が?」 「そうよ。お母様の誕生日に眼鏡のチェーンを買いに来たの。いい子よね。それで、なんだか仲良くなっちゃって。りーちゃんもたまにはお母さんに何かしてあげなさいよ」 「ハイハイ」 そういうことも有るんだろう。ねーちゃんの、笑い声があんなだったのは仕事関係の繋がりがあったからだ。 単純にそう思った。 .
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