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この日のことはそのうち、忘れた。変だったけど、俺にとってはあんまり重要じゃなかった。
西中の女子より、梅雨が明けた、ある日、ねーちゃんが言ったとんでもないことの方がずっと重要だった。
月曜日だったと思う。父さんも母さんもいる朝の食卓。俺はいつもどおりみんなより遅めに座って、箸をとった瞬間だった。
俺の隣がねーちゃんの席。ねーちゃんの正面が父さん。その父さんに向かってねーちゃんは言った。
「お父さん、私、独り暮らししてみたいな」
俺は耳を疑った。ねーちゃんが独り暮らしをしたいなんて、今まで言った事がない。
父さんも、朝イチなせいか、ポカンとしていた。
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