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「りーちゃん、なんか怒ってる?」
「別に?ただ、心配なだけ。この部屋の裏手、割と夜寂しい感じだし、国道近すぎてうるさいし、パチンコ屋も近いし、こんなんだったら、男と同棲するとかのが、よっぽど安心」
「はは。心配性だな。りーちゃんは」
ねーちゃんはようやく片付き始めた六畳の部屋の中の中央にポツリと置いた小さな、すぐガタガタいいそうなローテーブルにマグカップを二つ置いた。
俺は無言でその一つに手を伸ばす。
濃すぎるインスタントコーヒーの苦さが口の中に広がった。
「ホントに一人暮らしできんのかよ。これ、酷すぎ」
「え? 酷いよりーちゃん。あ、ホントだ。これは酷いね」
酷いコーヒーを飲み終えてから、俺は一人で東の家に帰った。
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