東陸一《あずまりいち》

21/107
前へ
/356ページ
次へ
ねーちゃんが一人暮らしを始めてからあっと言う間に夏休みになった。 始めの頃は、困ったことがあるたびに俺を呼び出していたのに、夏休みになると、ねーちゃんに呼び出される事もぐんと減った。 俺は、「受験」にかこつけて、忙しいと自分に言い聞かせていたけど、ねーちゃんの不在で、東の家について考えずにはいられなかった。 でも、何がねーちゃんにとって、良くないことなのか、俺にはよくわからなかった。 絶対実家にいる方が、居心地がいいはずなのに……。 「陸一、今日は塾にいくの?」 8月の朝なんて涼しいのは一瞬だ。既にエアコン全開で自分の部屋で、だらけていたら、母さんがノックも無しに入ってきた。 .
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

735人が本棚に入れています
本棚に追加