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もう一度、インターフォンを鳴らす勇気はなくて。
俺はドアノブに葡萄をひっかけると逃げるように、駐輪場へ向かった。
なんだ。オトコがやっぱりいるんだ。
その事をあまり認めたくなくて、振り払うように自転車を漕いだ。
その日の夕方、ねーちゃんから来たメールには、昼寝をして気づかなかった。って言う苦しい言い訳と、葡萄をよろこんでいる、感謝の言葉が、綴られていたけど、
俺はその日からねーちゃんのメールに返事が書けなくなってしまった。
今から思えば、俺はこんなことで、ねーちゃんと距離を置くべきじゃなかった。
もし、あの時いつもの調子でいれたら、事態はもっと別の方向に行ったのかもしれない。
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