東陸一《あずまりいち》

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姉ちゃんは、老人の隠居生活みたいな、時間の経過の分からない暮らしを、させられていた。受験勉強で、もっと塾に行けという、母さんの言葉を無視して、俺はなるべく、ねーちゃんの側にいた。 ねえちゃんは、失恋した。という事だろうか。 傷心は通常どれくらい続くものなのか。 まったく分からないから、ねーちゃんが独り暮らしをする前の、いつものフツーのねーちゃんでいる事が、俺は不気味で、不安だった。 .
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