東陸一《あずまりいち》

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俺が椿ヶ丘に合格し、中学校の卒業式を迎えた日。 帰ってくると、めぼしいところすべてに、ねーちゃんの姿はなかった。 家中を探して、不安でたまらなくなった俺は外に出て、ふと目に入った、何かが変だと思った。 蔵だ。 あそこの扉が開く事は滅多にない。 自宅の敷地内にあるのに、思い出すことも滅多にない。 なのに、引き戸が五センチくらい、開いているように見えた。 俺は走って蔵に行き、重い引き戸をわざと音が出るように開けた。 .
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