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「ねーちゃん? ここにいるの?」
扉を全開にしても暗い蔵の中に入り、電気をつけた。あたりを見渡しても、ねーちゃんはいなかった。
その代わりに、屋根裏から、ゴトリと何かが倒れたような音と、か細い声が聞こえた。
「ねーちゃん?」
俺は屋根裏に続く梯子を登った。屋根裏の床に目が届くと、ねーちゃんが幾つかある長持の一つにもたれて座っているように、見えた。
「……。り……。ちゃ……ん……」
か細くそう言ったねーちゃんの様子が、明らかにおかしかったから、急いでねーちゃんに近づいた。
そして、暗さに目が慣れた頃。
ねーちゃんが血まみれなのに気づいた。
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