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コンコン。
軽い音がドアの向こうから聞こえて、全員が部屋の扉の方を向いた。
ノックをした人はにこやかに部屋の中央に来た。
「みなさん、おそろいのようね。この郷土資料研究会の顧問になりました、渋谷です」
俺と北山だけが「ハッ」としていた。
白いカットソーに、グレイのスカートのにこりと笑った先生は、渋谷唯香の母親だった。
渋谷先生の登場に、俺は呆然とした。
眼鏡から綺麗に湾曲を描いたチェーンが、何かを思い起こさせた。
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