東陸一《あずまりいち》

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証明写真や履歴書に混じって、見慣れない書類が一枚出てきた。 「これって、戸籍謄本?」 その中身をよく見てみると、予想もしなかった、受け入れがたい真実があった。 俺はその紙を持って、ほとんど叫びながら、二階から駆け降りた。 「母さん! なあ。これ、どういうことだよ」 リビングでゆったり紅茶を飲んでいた母さんがゆっくり振り返った。 「これって、何が?」 「ねーちゃんが、養子ってどういう事だよ!」 紙を突きつけたら、母さんはそれを受け取って。短く溜息をついた。 「ええ。そうね」 「そうねって。俺何も知らなかったんだけど」 「でも、園美ちゃんが東の。お父さんの子どもだということも、陸一のお姉さんだという事も間違いないわ。私となさぬ仲というだけのことなのよ?」 .
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