東陸一《あずまりいち》

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「ねーちゃんは、俺とは腹違いのきょうだいだってこと?」 「そうよ。これ? どこから出てきたの?」 「ねーちゃんの部屋にあった」 「そう。やっぱり園美ちゃんは知っていたのね。だから、急にあんな……独り暮らしがしたいなんて。自分からあんな事言って…」 「なあ、母さんは、ねーちゃんの事、どう思ってたんだ?」 「ちゃんと、育てたわ」 俺は、本当に馬鹿だ。守られてばかりで、何にも気づけないくらい、鈍くて。 ちゃんと育てる。って、どういうことだろう? そこに、温もりがないように思えるのは何でだろう。 .
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