東陸一《あずまりいち》

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「ねーちゃんの本当の母親ってどうしてるの?」 「私は、お金の事は最初にそっちを疑ったの。でもこの町の人間じゃないらしいから、お金を無心するなら、振り込みなんかしてないから、園美ちゃんに会わなきゃいけないでしょう? その女が近くにいたとは思えないの」 母さんなガリガリ爪を噛み始めた。こんな母さんは見たことがない。 いつも完璧な。完璧すぎる奥様。 それが母さんだったから。 「お金のこと、じゃなくて、その人はどうしてるの?」 「知るわけないわ。知りたくないもの」 「ねーちゃんはどこで眠っているの?」 「知らないわ。埋めたのはお父さんだから」 父さん……。 .
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