東陸一《あずまりいち》

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じっと、慎重に狙っていたら、チャンスは訪れた。 生徒会の用事で南条先輩は不在。 西山も習い事か何かで不在。 北山は学校を早退していた。 本館の部室には、俺と渋谷だけ。 「あ、だめだ。これ、今日までだった……。私ちょっと職員室に行ってくるから、東くん、待っててくれる?」 「ああ」 あんまりにも、待ちに待った状況で、自分におかしなところがないか、不安になったけれど、渋谷は振り返りもせず、慌てた様子で、部室を出た。 職員室は新館の北側の三階にある。ここから走っても3分。 往復で6分。 じゅう分だ。 .
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