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鯉のエサを全部ばらまいてから、ねーちゃんは言った。
「りーちゃん。私ね、本当は誰とも、出来たら一生結婚したくない。誰ともしたくないから、誰としたってよかったの。それで、お母さんにあんなこと言っちゃって、ゴメンね。りーちゃんが知ったらりーちゃんが傷つくって分かってたけど、私、他に何にもお母さんが納得しそうな交換条件思いつけなくて、ああいってしまった。でも、半分本心なの、だって、誰としたっていいんだから」
「なんでだよ!? 俺がマスカット持って行ったときにいたの、男だろ? その男と結婚すりゃあいいのに。お金もそいつに無心されたんだろ? ねーちゃん、そいつのこと、すげー好きなんじゃないのかよ? わけ、わかんねーよ」
「そうだね。わけわかんないかもしれない。でも、わけわかんない方がいいことだってきっとあるよ?」
「どういうことだよ?」
「りーちゃんなら、いつか、きっと分かってくれるよ。いまじゃあないけど」
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