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「いえ、義理の兄が仕事で滞在しているので、姉と一緒に遊びに……」
「そうでしたか。高丘さんもお元気で毎日忙しくされていますから、なかなかお休みも合わないでしょう」
「えぇ……まぁ」
梶本さんがきょとんとした表情で私を見つめている。純弥さんの口から高丘さんの名前が出れば、自然と『HILLSの高丘』を意味していると気付いたのだろう。
「すみません。連絡が入りましたので今日はこのあたりで失礼します」
気を持ち直して、失礼がないように見送りまで済ませると、近くの壁に背中を預けて天井を仰ぎ見た。
「……椿、ちょっといい?」
梶本さんが私に声をかけるのは当然の事だろう。共同開発の話だってあるし、ましてやHILLS社の人間と係わりがあるなんて知ったら、色々聞きたくもなるはずだ。
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