126人が本棚に入れています
本棚に追加
適当に空いていた小さな打合せ室に入り、梶本さんと向かい合って座った。
「山下専務が言ってた高丘さんって、HILLSの高丘さんのことだよな?」
「……はい」
「つまり、休暇中の旅行を一緒にしたのではないかと思われるような関係が、椿と高丘さんの間にあるのか?」
がくんと項垂れるように頷いてから、すぐに梶本さんを向き直り、話せる範囲で打ち明けようと、真っ直ぐに視線を合わせた。
「実は、MORITANIとモニターの話を進める前から、高丘さんとはお付き合いをしています。でも、社外秘の内容については漏らしていません。彼もHILLSの情報等は特に話すことはありません」
「うん、俺は椿がそういうことをするとは思ってないから、疑っているわけじゃないんだよ。だから、そんな辛そうな顔をするな。俺がお前を可愛がっているのは分かっているだろう?」
梶本さんとの信頼関係を壊さずに済んでホッとしたけれど、ここ数日の彼との擦れ違いや、純弥さんがどうして高丘さんの名前を出してきたのかを考えると、鉛のような重さで引き下げられるようだ。
最初のコメントを投稿しよう!