rule 17

　帰宅ラッシュを避けて帰宅するとすぐに洗濯機を回して、大体の片付けを済ませた。高丘さんに帰国の連絡をしておいたけれど、今夜あたり何かしら言ってくれるだろうと、あまり深く考えないようにした。

　バスタブにお湯を溜める間、ベランダで煙草を吸いながら愛名ちゃんにメールを送る。そういえば、１年前は故障のせいで銭湯に行く羽目になったのだ。懐かしく思いながら、まだ明るい空を見上げ空の狭さに息をついた。

　２２時を回り、さすがに帰宅しているだろうと隣室に目を向けたけれど、まだ明かりが灯っていない。相当な激務に追われているのかもしれないし、こういう時は黙って落ち着く時を待つほうがいい。私だって明後日から仕事が再開するし、何事もなく不意にベランダで顔を合わせることになるはずだ。
　早く会いたいと気持ちが逸ってしまうだけで、彼との関係は変わっていないのだから。