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会いたいと伝えるだけなのに、それすら封じてしまったばかりに結局素直になれず、また強がりばかりが上手になってしまう。
「はぁー……」
「うわっ、暗すぎ」
こんな気分の時に限って、MORITANIとの打合せが入ったりするものだ。梶本さんの都合もあるし、仕事なのだから避けては通れないと分かっていても、とにかく気が重い。
帰国して週が明けても、高丘さんからの連絡は一向にない。それどころか帰宅している時間が日を跨いでいるようで、隣室に明かりが灯ったところを見ていない。
会えなくても想っていると言ってくれたのは、こんな毎日が続くことを意味していたのだろうか。だとしても、連絡の1つくらいあってもいいのに……。
「おい、椿。聞いてる?」
暗いと指摘されてもなお、口角が下がったままでいる私の肩を揺さぶって、梶本さんが打合せ前の資料確認を始めた。
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