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「プロポーズは、日を改めてきちんとするから」
予告だと言ってみたけれど、現実は冷たい。せっかく叶った想いを諦めなくちゃいけないかもしれない。分かっているのに、彼女に甘い未来の約束をするなんて、ことごとく自分が最低だと思う。
気持ちが隠せない彼女を横目に、運転に集中する。どうしたら、彼女が悲しまずに済むだろう。俺なりのケジメがつけられるだろう。
赤信号の車内、凛子さんの頬に手を添えてキスをした。
これで何度目のキスだろう。あと何回、触れることを許してもらえるだろう。
「楽しみに待っててくれますか?」
まともなデートは今日が最後になるかもしれない。今夜はどうしても彼女の記憶に残る夜にしたかった。
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