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「だめですよ」
京平の言葉に冷たく言い返したのは暁だった。
「2人ともみたいものがみえるわけじゃないんです。
とてもじゃないけど、2人の力を捜査に使用するのは無理だと思いますよ?」
いつになく丁寧な口調で言う暁だが、逆にそれが怖い。
「暁?」
鈴花がいつもと違う暁に不安そうに声をかける。
「桃花も鈴花も、今までこの力のせいで悩んで苦しんできたんです。
これ以上2人を危険な目にあわせたくありません。」
きっぱりとそう言いきる暁を京平はじっと見つめる。
暁も目をそらすことなく京平を見つめ返す。
ふっと表情をゆるめ、先に目をそらしたのは京平の方だった。
「わかった。今日はもう終わりにしよう。
返事はまた今度聞くよ。」
「だから――」
暁が口を開くがそれを遮るように京平が言う。
「君の意見はわかったよ。
でも2人の意見はまだ聞いていないからね。
2人で…いや、3人で話し合って答えが出たら、渡した名刺の番号に電話してくれればいいよ。
遅くなっちゃったし、家まで送るよ。」
その日は京平の言葉に甘えて3人は家の近くまで車で送ってもらった。
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