自己満足は嫌い

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  躊躇いなどかけらもない誠司の手は、 あたしの肩にかけられた。 「震えてる」 「だって、……怖い」 「そう、怖いの。いいことだ」 「バカなこと言わないで……」 「……だって志緒、それって、 俺のこと男だって気付いたからだろ?」 「……」 「俺にとってはいいことだよ。 どんどん怖がればいい」 「……誠司、 なんでこんなことになるの」 誠司との距離は、 彼の言うように男と女のそれで。 彼には、 抱きしめられたことだってある。 でもそれは拓海さんがいなくなって 泣くあたしを慰めてくれてのことだ。 .
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