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“俺はね、あの人、
好きじゃないんだ”
怒りをはらみながらも、
まだ何か抑えたような
誠司の声が、耳から離れない。
久しぶりに落ち着いて
自分のデスクで
仕事をしてるっていうのに。
手元の書類を眺めては目が滑り、
また読み直す……なんて
効率の悪いことをさっきから
何度もしている。
……誠司が拓海さんのこと、
好きじゃないだなんて。
そんなこと、初めて聞いた。
そう、あたしにとっては
それもショックな話だ。
あたしが、
拓海さんと付き合っていたからって。
あたしのことを
誠司がずっと好きだったからって。
それで、兄弟の仲に
亀裂が入ったり
するものなんだろうか。
きょうだいのいないあたしには、
判らない。
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