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“俺がどんなに努力しても
手に入れられないものを
全部持ってるくせに、
不満そうにする。
……許せないよ”
苦しげに言った誠司の目で、
昨日今日のことじゃないって
判るけど。
……それだって、
思い違いかも知れないのに。
昔、一度だけ拓海さんが
話してくれたことがある。
誠司は自慢の弟なんだ……って。
大人達に手を引かれたとはいえ、
若いうちから夜の街に出入りし、
堅気とは言えない生き方を
選んでいる自分と、
真面目な誠司は違うんだと。
周りを幸せにできるのは
誠司の方なんだと。
……人間としての出来は、
誠司の方がずっと上なんだ、と。
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