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いったい何年、
女としてこの体を
使ってなかったかとか、
もう考えるのもイヤだ。
“Raison d'etre”に
ついて回ってた間に溜まっていた
事務仕事をひとつずつ
潰していきながら、
来週の公開イベントの関係者に
確認の電話を入れる。
座っててもできる仕事は、
楽そうだけど頭と神経を使う。
どちらにしても、今日もクタクタだ。
「志緒ちゃん、電話ー」
スケジュールと
にらめっこしていると、
斜向かいのアラサーの先輩が
ヒョイと顔を上げてこちらを見ていた。
「あ、はい」
「2番ね」
「ありがとうございます」
先輩の手元を見て、
ボタンを押し受話器を上げた。
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