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「なに、謝らなくてもいいさ。
……もどかしいのは聞いた俺だけだし」
「話しちゃってすみません……」
「いや。
どうしたいか自分で判ってない
女の子を責める趣味はないから」
「……!」
一気にお腹の底まで見透かされて、
思わず顔を覆った。
真っ暗な視界に、
フードコートの明るい喧騒だけが
はっきりしてくる。
「でも、俺思うに、
相手の男も同じなんじゃないの」
喧騒のど真ん中を、
木島さんの穏やかなテノールが
真っすぐ飛んできて、
あたしの意識に突き刺さった。
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