プロローグ

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 ガタンゴトン、ガタンゴトン。揺れる電車の振動を感じながら人気の少ない車内を見渡す。現時刻はAM:10時。俺の地元だったらこんな休日のこの時間はもっと人が電車内をひしめきあっていたがさすが田舎、車内には今俺を含めて3人しかいない。  唐突に決まった引っ越しと転校。親父が仕事の都合で海外に赴任する事になったので俺は昔世話になった叔母の家に越す事となった。今はその道中。車窓から見える景色は微妙に都会っぽさを残すものの田んぼやあぜ道が増えてきており、行く先々の田舎疑惑が深まる一方である。  正直世話になったのが相当昔なので相手の顔やどんな土地にいたのかとか全く覚えてない。相手方は俺の事を認知していたようで良かったけれど、念のために写真かなんか見せてもらうべきだったな。まぁ、親父から連絡先は聞いたしそこらへんは大丈夫だと思うけど。  暇を持て余している友達にLINEを送っていたら目的地を告げる車内アナウンスが流れたので降りる準備をする。  プシューッ。 「ふぅ……あっつ」  電車を降りてホームに立つ。降りた駅は俺が前住んでた地元の駅とは打って変わって木材がむき出しで寂れた雰囲気を感じた。完全に俺が思い描いていた典型的な田舎の駅。日差しが遮られる事なく俺を照りつけてる事が既に驚きだが、改札に駅員さんが立っている事を除けば人っ子一人いないということが一番の驚きだ。  駅員さんに切符を渡して改札を通り道路に出る。シャツと半ズボンというラフな格好をしているのにも関わらず汗が出る。この土地は異常に暑い、夏だから仕方ないというレベルを通り越して異常だ。 「あ、やっと来たね! 君、来栖咲人(くるすさきと)君でしょ」 「うぉっ、なんだなんだ」  一息つこうと自販機に百円を入れた瞬間背後から声をかけられる。振り返って確認してみたら、声の主はスーツを来た若い女の子だった。 「え、えっと?」 「初めまして咲人君。私が噂の叔母です。高町雫(たかまちしずく)と申します。以後お見知り置きを」  女の子は笑顔で名乗りをあげる。叔母と言えるほど歳を取ってるようには見えないが親父曰く「ガキみたいな外見と思考を持った中年ババア」との事だし間違い無いのだろう。  俺は高町さんに従って、特に疑うこともなく車に乗った。
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