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「あなた……誰?」
「俺は来栖咲人、海賊王になる男だ」
「……?」
風奈とやらは机を立てて俺に警戒しながら様子を見ている。
「……なぁ、お前あの人の娘? そうなると俺の遠縁の親戚になるわけだけど」
「……うん」
「そかそか、なら安心だな。警戒解いても大丈夫だぞ」
「……」
人が笑顔で接してやってんのに警戒は解かれない。さらに俺に不信感を抱いてるようだ。彼女の目がそう語っている。
「お茶菓子を持ってきたら異様な光景に出くわしてしまったよ。二人とも、何してるの?」
このままじゃラチあかないので俺も荒ぶる鷹のポーズを体現してコンタクトを図ろうとした瞬間、襖が開いて高町さんが入ってきた。
「てか風奈、そんなディフェンス高そうなフォルム取られるとお茶置ける場所ないからノーマルフォルムに戻ってよ。何で守るを発動してんのさ。そしてなんで咲人君はビルドアップしてんのさ」
「荒ぶる鷹のポーズです」
「そんな技無いよ」
高町さんは風奈とやらから机を奪いその上に菓子とお茶を置く。風奈とやらは「ひゃー」と悲鳴を上げながら高町さんの背後に隠れる。
「もー風奈ー、コミュ症こじらせ過ぎだよー。大丈夫だよ、この人は段階を踏んで股を開かせる人だから痛いのはまだまだ先さ」
「なーに言ってんだあんたは」
「え? 風奈ってば、咲人君に対して興奮してるからこんなにコソコソしてんでしょ? で、咲人君もヤル気満々だったからビルドアップもとい固くなるを使ってたわけだ。違うの?」
「ちげーよ!」
「ッ!?」ブンブン!
風奈とやらは口には出していないものの頭を横に激しく振る事で否定の意を示す。
「うまい具合に直接的な表現を包み隠せば何言っても許されると思うなよ! 俺は別に邪な感情を抱いてないし、こいつもそんなの抱いてないはずだ!」
「ッ!」ブンブン!
風奈とやらは俺の意見に賛成したかのように首を激しく縦に振るう。
「はー、そっかー。いやはや残念だよ。若き男女の生殖行為を間近で見れると思ったのに」
「あんたは実の娘に何させようとしてんだよ……」
「言われても、私が腹痛めて産んだ子じゃないから別に、何か思うわけでも無いんだけどねー」
「え?」
高町さんはヘラヘラと笑いながらそんな事を言う。腹を痛めたわけじゃない、つまり自ら出産した子じゃないってことか?
つまり、血が繋がっていない親子なのか……?
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