第1章

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医師が出ていくのを目で見てから、少年は息を吐く。 「まさかバットが飛んでくるなんてなぁ……」 少年、名を山崎カズヤという。 高校2年の梅雨が始まる前、授業で女子と合同で野球をしていた時だ。 『やだぁ、バットでボールが打てるわけないじゃん!』 『大丈夫、優しく投げてくれるから』 バッターである女子の後ろにキャッチャーとし腰を下ろしたカズヤ。 ボールが飛んでくる。 カンッ! 金属に軽く当たる音がした。 『やったぁっ!当たったよっ!』 『ほら!早く走らないと!』 当たったボールはピッチャー前に転がる。 ピッチャーはそのボールに走り寄ってファーストへ投げようとしていた。 『あっ、やばいっ!』 女子が一塁に向かって走った。 と同時にカズヤの意識が無くなった。 女子が手放したバットは真っ直ぐカズヤに向かってきたのだった。
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