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医師が出ていくのを目で見てから、少年は息を吐く。
「まさかバットが飛んでくるなんてなぁ……」
少年、名を山崎カズヤという。
高校2年の梅雨が始まる前、授業で女子と合同で野球をしていた時だ。
『やだぁ、バットでボールが打てるわけないじゃん!』
『大丈夫、優しく投げてくれるから』
バッターである女子の後ろにキャッチャーとし腰を下ろしたカズヤ。
ボールが飛んでくる。
カンッ!
金属に軽く当たる音がした。
『やったぁっ!当たったよっ!』
『ほら!早く走らないと!』
当たったボールはピッチャー前に転がる。
ピッチャーはそのボールに走り寄ってファーストへ投げようとしていた。
『あっ、やばいっ!』
女子が一塁に向かって走った。
と同時にカズヤの意識が無くなった。
女子が手放したバットは真っ直ぐカズヤに向かってきたのだった。
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