第一話

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一瞬幽霊かと思った。 学校の七不思議である夜の校舎からピアノの音が聴こえるといった類いかと。 しかし、違う。 こんなに繊細で美しいメロディーを幽霊が弾けるわけがない。 それに昔このメロディーを聴いたことがある。 確か幼い頃に母に連れられて行ったピアノの演奏会だ。 弾いていたのは、俺と同い年くらいだった男の子。 名前は忘れてしまったが、確か天才ピアニストと呼ばれていた。 もしかして、その彼が俺と同じ学校なのだろうか。 でも、それはおかしい。 天才ピアニストと呼ばれているなら、もっと学校で有名なはずだ。 学校から表彰されてもおかしくはない。
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