dolcissimo

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「何…これ?」 家に帰ってきて、開口一番の声が冷え切った冷たい一言だった。 ソファーに飛び散ったおびただしい汚れと部屋にこもる独特な臭い。 脱ぎ捨てられた服…服…服…。 「何これ…どーゆー事?」 脱ぎ捨てられた服は二種類… 一つは、見慣れた彼方の服。 もう一つは…僕の記憶が正しければ、ガススタの制服。 僕は、持っていた籠を優しく床に置き、ちょっと待っててね。と声を掛けた。 とりあえず、スマホを耳に当てて目当ての場所に連絡を取る。 「もしもし、…そ、僕。とりあえず、清掃とさ、新しいソファーを持ってきて。」 散らばった服をバックにまとめてクリーニングBOXに投げ入れる。 そうして、一息ついた時…扉が一つ開いた。 「遅かったな…。」 黒いバスローブを着て、濡れた髪をかきあげる彼方がいた。 「何やったの?」 「喰った。」 冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出す彼方。 それを美味そうに飲み干して、僕を見て 「目の前に美味そうなカラダと誘うような甘い香りがしてたら…。」 彼方は艶やかに笑い…。 「骨の髄まで喰らい尽くしたくなるだろう。」
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