dolcissimo

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「直人…。」 呼びかけると、ビクンっと体が跳ね…激しい音を立てて倒れた。 「直人!」 「触るな!…誰も…俺に…触るな…触るな…。」 ガタガタと震える直人の身体を僕は…黙って抱きしめた。 獣のように手足をばたつかせ必死に逃れようとする直人の身体を一つ一つ抑え込んでいった。 「離せ!触るな!…俺にさわっ…んんっっ……やめっ……。」 僕は、身体全部を使って直人を抑え込むと、僕を拒否する言葉を吐くその唇を塞ぎ舌を絡め取った。 直人を落ち着かせる様に何度も何度も唇をついばみ、時には深く…。 「落ち着いて…大丈夫……落ち着いて……。」 「いやだ…ふうっ…触るな…触る……。」 「ねぇ…僕を見て…僕は…誰?」 そうしてもう一度口付ける…茜色の世界での僕らをトレースする。 やがて…直人は、僕を拒む動きを止めて… 「く…おん?」 やっと、僕を見た。
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