dolcissimo

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僕は…この世界で一番脆いこの人が壊れないように。 優しく抱きしめて… 「ただいま…直人。」 抱きしめた。 「く…おん…。くおん…久遠…。」 僕の腕の中、何度も僕に名を呼ぶ直人を抱きしめながら… 僕は酷いことを思っている。 彼方の想いに溺れてしまえばいいのに…。 身も心も塗り替えられて、しまえばいいのに…。 そうしたら… 僕がずっと…抱きしめてあげるのに…。 でも、そろそろ…チャージ終了かな…? 「直人、そろそろ…お風呂が湧くよ入ってきたら?」 僕は体を離して直人を見る、 直人はみるみる顔が真っ赤になって… タオルをかぶったまま立ち上がり、一歩進んだ。 ポタ…ポタ…。 直人は自分の太ももを恐る恐る触り… 僕は大理石の床を凝視し… 直人の絶叫が浴室と脱衣所にこだまし…。 そうして…僕は服のまま 直人を浴室に引きずり込んだ。
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