dolcissimo

7/11
前へ
/116ページ
次へ
ねぇ、直人…と僕は呼びかける。 ん?と視線だけで直人は僕を見る。 「真面目な話…直人はどうしたい?僕等は、直人と一緒にいたい。 だけど 直人はそれでいいの?僕等といれば今日みたいな事は起こるよ。彼方は本気だよ。」 直人は黙って目を伏せる。 「それと、もう一つ…直人は僕に愛されたい?愛したい? 僕は…あなたを愛したいし愛されたい…直人…教えて?」 伏せられていた瞳が僕を見つめる。 強い…瞳…。 「正直…よくわかんねー。 でも、 お前らが俺を必要だって気持ちはわかる…。」 それじゃダメか? って直人が笑う。 ズクリ……。 僕の体が直人の笑顔に呼応する。 僕の体と本能は… アイシムサボリタイ… と騒ぎ出す。 だけどね、僕の口は嘘つきだから…本当のことは口にしない。 紡ぐのは…偽り… 隠すのは真意… 「直人…僕等と共にあるってことは、さっきみたいな事は合意って事だよ?」 直人は…少し止まって…小さく頷いた。 そして僕は…嘘をつく…。 「なら、僕を愛して…。」
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

181人が本棚に入れています
本棚に追加