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その日…俺は痛む腰をさすりながら仕事に赴くことになった。
久遠には何度も休むように言われたが…
あんな…トカゲのお化けがいる寝床にいられるわけがねぇ。
思い出しても背筋の凍る目覚めだった…。
俺は体のだるさも、腰の痛みも我慢して我慢して働いていたが…
体調が優れないことが柄沢にバレた。
よりによって一番秘密にしたい相手にバレた。
事務所に戻って書類の整理をしようとした時…
ドンっ
俺は壁際に追い込まれていた。
「なっ…。こっこういう事は、梓ちゃんにする事だろ。」
俺は咎める様に柄沢を睨みつけた。
柄沢は笑っていた。ほんの少し暗い陰りのある瞳を俺に向けながら…。
「梓を傷つけない様に気をつけてるからこんなことはしない。」
また、居なくなったら困るだろうとうっそりと笑う。
いつからだ…いつから…こいつの目の中にあんなもんが見える様になった?
梓ちゃんとつき合い始めた頃にはなかった…。
いつからだ…。
柄沢は、俺の髪に指を絡ませ、なぁ…と尋ねる。
「お前…今日は調子悪いんだろ、後はあいつらとなんとかするから今日はもう帰れ。」
変に甘さの残る声にぞくりとする。
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