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ヨロヨロとマンションに戻ると、玄関前に久遠がいた。
「………。」
「お帰り、直人。なんでいるのって顔してるよ。」
空いた口が塞がらない俺に久遠はにこやかな笑顔を見せた。
「がっ…。」
「学校は早退。だいたい…直人が悪いんだよ。仕事に行くから。僕、注意したよね…今日は熱が出るから休めって。」
俺の手を引き、風呂場までつれていく。
本当はすぐ寝て欲しいけど…と言ってから、
「ガソリンスタンドの仕事は汚れるからね。まず体を綺麗にしてからベッドで休んでね。」
そう、有無を言わさぬ笑顔で風呂に突っ込まれた。
風呂には入りたくなかった…ここは色々思い出す…。
忘れたい…
なかったことにしたい…
ー直人…好きだよ…ー
ー俺を見ろ…直人ー
ーほらもう全部入った…ー
ー今は俺に溺れろ…ー
昨日…身体に教えられた、快感がゾクゾクと蘇る。
「あぁ…んふっ……。」
自分の声とは思えない甘い響き…
忘れられない…
覚えている…
ーほら…もうトロトロだね。ー
ーここは、随分と喜んでいるな。ー
ー痛い…?嘘つき…美味しそうに咥えてるのに?ー
ー直人…心まで渡せとは言わない…身体は寄越せ…今はまだ…それでいい。ー
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