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「誰?」
俺の問いかけに、久遠は…んもうっと呟いて、
「知らないの?本当に?やばいよ、ヤバイって直人…。」
久遠は、少し慌てながら…ふっと思いついたように、俺を見た。
「熱が大丈夫なら、観てみる?」
「いいのか!」
俺は、飛びついた。
久遠は微笑んで、その代わりと自分の膝をポンポンと叩き
「頭はここにのせてね。少しでも身体が楽な体制にして。」
それが条件だよ…と久遠は囁いた。
久遠が観せてくれた、DVDは…
若く、美しい王女が、伝統と規律に守られた世界を嫌がり…
逃げ出してしまう話だった。
ローマという街で…新聞記者と恋に落ち…
別れてしまう。
だと言うのに、1番思い出に残る場所はーローマだと誰よりも美しい笑顔で答えた。
どうして…この王女は笑えるのだろう…。
花がほころぶように美しく。
「解っていたんだよ、この二人は。生きる世界が違うことを。」
そう言って俺の頭を撫でる。
決して自分たちの道は交わらないと解っていて、恋に落ちたんだ。
いつか…
素敵な恋をしたんだと…笑って話せる未来を信じて別れたんだと…
僕は、思っている。
そう…俺に囁いた。
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