3人が本棚に入れています
本棚に追加
「どんな世界と問われても答えることはボクでもできないな★ あっ、でもボクでも知らないことがいっぱいあるからリヒトちゃんはとても気にいると思うよ★」
「そうか。そうかそうか」
少し、ほんと少しだけ口角が上がる。
「準備は出来たかな?★ 準備ができてなくても連れて行くけどね★」
椅子代わりにしていた本から立ち上がる。
「それじゃあ案内するね★」
タンタンッとつま先で床を鳴らすと、其処を中心に青白い魔法陣が部屋いっぱいに広がった。
そして同時に警報が鳴り響いた。
「あれれれれれ?!★ おかしいなぁ、警報は鳴らないように弄ってきたのになんで鳴ったんだろう!?★ やっちゃった!★」
「早くしないと奴らが来るぞ」
バタバタと上の階から響く足音と警報に動揺する青年を他所に、リヒトは一冊の本を愛おしげに髪で撫で続けていた。
「分かってるよ!★ せっかく口上考えてたのに勿体無いことしちゃったな!★ それじゃあ行くよ!★」
「ああ」
「それじゃあいくよ!★ ボクの世界へ★」
青白い魔法陣から部屋を覆い尽くすほどの光が発生した。
その日、リヒトと呼ばれる最初で最後の天才が姿を消した。
最初のコメントを投稿しよう!