昔話

2/3
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
「…私達の住んでいる星は、今は岩山や砂土に覆われているけれども、昔は草木が生え、海が流れる緑溢れる星だったの。何故、私達の住むラーナッツ星から緑が消えたかと言うと、今から100星年前にこの星に『外来星人』がやってきたの…。外来星人の名はエレグス。彼は己の欲心、ラーナッツ星を我が物とする欲望からたった1人で船の様な不思議な乗り物に乗ってこの星にやって来たの。エレグスには口が無いけれど私達と同じ様に言葉を喋ることができた。「コノ星ヲ我ガ物トスルベク、邪魔ナ貴様等ヲ一掃サセテモラウ」当時のペリオン族長老にそう言うと、両手に付けている武器と思われる物から、炎と毒を出して大地を炎と毒の汚染で覆ったの。争いを好まない私達ペリオン族だけど、もちろん必死に抵抗したわ。でも、獲物を取る時に使う石の槍や、斧、弓矢では到底敵うわけ無く、1人1人と無惨にも殺されていった。何千万人もいた人口は、3日も経たないうちに何万人になり、絶滅しようとしていた…。そんな中、1人の男がペリオン族に伝わるある禁じられし行為を行ったの。『絶命術』と呼ばれるそれは、「使用者の命を使うことで、どんな願いごとも1つだけ叶う」というもの。もちろんペリオン族みんなが反対したわ。対話で解決すると思ったのね。でも男は言ったわ「確実に殺される。どうせ殺されるぐらいなら、自らが死ぬことで願いごとが叶う絶命術を使って死んだ方がましだ。それに、俺のしたことが後世に伝われば英雄扱いされるしな。そういうのも悪くない!」…と。男は絶命術を使い、エレグスを消滅させようとした。しかし、エレグスは消滅させられる際、海に向かって手に付けている武器を使い、一発の光弾を撃った。間も無く男は死に、エレグスも消滅し、塵になって消えた。たった1人の外来星人によって絶滅させられようとしていた星は、たった1人の男の命によって救われ、平和を取り戻した。でも…平和は長続きしなかった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!