第1章

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ドンッと彼の手が壁に叩きつけられた。私は彼と壁の間に挟まれてしまう、優しげな微笑みは多くの女の子を魅了するだろう。ルックスだけとってもひどく整っていて、黙っているだけでも絵になってしまうこの男に好意を寄せる女の子は多い。 「ねぇ、どうやったら僕のものになってくれるの?」 まるで子供のような問いかけに私は鼻を鳴らす、今まで何不自由なくえるものを得てきた。ほしいものはなんだって手に入ってきた奴の傲慢な問いかけがそこにある。壁に手をかけながら至近距離でそんなことを言う。漫画みたいな展開だ。 「嫌だって言ってるでしょ。私は誰の物にもならないし。そういう自分の所有物みたいな態度が一番、嫌なの。出直せ、バーカ」 もったいないとよく言われる。ルックスはいいくせに口が悪く、子供っぽいと。もう高校生なんだから大人らしくなれと散々、注意される。なーにが大人になれよ。あんたらの都合を押しつけるな、私は私だ。お菓子だって食べたいし、家でゴロゴロしたい、漫画を読んでゲラゲラ笑いたいし、日曜日の夕方には笑点だってある。なのに他人の都合で私を変えなくちゃいけない理由がわからない。 高校生になってなんか見た目がかっこいい男子の交際関係になってイチャイチャウフフなんてまっぴらゴメンだ。気持ち悪い。私は誰とも付き合わない、だいたい高校生なったら恋人を作らなければ価値がないってイメージが嫌だ。どいつもこいつもやれ、クリスマスだ。バレンタインだ。夏休みだ。文化祭だとなんかと一年中ずーーーーーーーっとイチャイチャして、疲れないのかしらって思う。 「そんな君を」 「うるさい、黙れ、シャラップっ!! 死ねっ!! そんな君をもっと欲しくなったとか言うつもりなら脳内お花畑のアホアホ女子にでも言ってなさい!! 私はね、甘ったるい言葉で誘えばなんとでもなるとか、似たような境遇だから仲良くなれるとか、そういううっとうしい関係やんて嫌いなの。よく言うでしょ。ワースト制度とか、空気読めとか、ボッチとか、一人がでしゃばるとこぞって叩いて、潰してしまおうって空気、めんどくさいの。だから、金輪際、近寄るなっ!! 近寄れば潰す、いろんなところをちゅうちょなくっ!! 踏み潰すっ!!」
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