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それは、最終確認だった。
これで、彼女が頷いたら、私はこの子を教えてみようと思った。ためらったら、断るつもりだった
けれど、彼女から戻ってきた答えは私の考えを越えていた。
「うん!
ダンスやリトミックなら、私が先生に教えてあげる!
一緒にやったら、きっと先生も楽しいよ!!」
手足を目一杯ばたつかせながらそう言う彼女に、呆れながらも、気がつくと自分の顔が綻んでいるのを感じた。
「そっか!楽しいか!!」
「うん!楽しいよ!」
その笑顔は、迷っていた私の背中を、まるで突き飛ばすように押していた。
私が、この家で、杏樹にピアノを教える、と決めたのは、杏樹のこの笑顔を見た時だった。
こうして、私と杏樹の日々が始まったのだった・・・
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