4人が本棚に入れています
本棚に追加
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
「……ほんっとに、ニシは!!」
「馬鹿じゃないのあいつ!」と怒り心頭に恐竜のように吠えまくる飛鳥の言葉を、半分聞き流しながら生クリームを口に運んだ。
「大体単細胞すぎんのよ!猿並の脳細胞しかないわよ、あれは」
上にたっぷりと乗っていた生クリームを制覇したわたしを睨みつけながら、「ね?!」と同意を求めてくる飛鳥を純粋に、般若みたいだなと思った。
「……でもまぁ、」
「『でも』だぁ?!」
「……落ち着けって。睨まないでよ」
わたしが反論する気配を見せたのがムカついたらしく、全力で眼力のみで殺しにかかってくる飛鳥に片手の平を向けながら宥める。
まぁ、確かにあいつは短絡的というか乱暴というか。
流石学年で悪名高くなるだけあるなって感じだけど。
「多分アレ、わざとだよね」
「……あん?」
「だから、わたしがどうしようもなくなってんの察して代わりにキレてくれて、でも佐野さんにキレただけじゃわたしと飛鳥を一方的にかばったみたいに見えて感じ悪くなるから、わたしにもわざとキレて」
「…………」
「で、自分だけ悪者になって、わたしと飛鳥守ってくれたんでしょ……多分」
「……はぁぁぁ」
ぽつぽつと語るわたしを数秒ガン見しては、不意に諦め半分疲労半分に溜息を吐く飛鳥。
そのままギシッと椅子の背もたれに寄りかかると、ロングヘアーのさらさらとした黒髪を片手で掻きあげながら、つまらなそうに呟いた。
「……分かってるわよ、そんなこと」
拗ねたように唇をとがらせる飛鳥に、やっぱり長年の友だな、なんて嬉しくなってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!